膵炎の新薬

昨年、犬の急性膵炎に対する新しい治療薬が発売されました。

急性膵炎とは、文字通り膵臓に炎症が起こり、嘔吐や食欲不振などの症状を引き起こす疾患であり、重篤化すると死に至ることもあります。

人の急性膵炎ではアルコールや胆石が原因であることが多いですが、厄介なことに犬の急性膵炎の原因は9割が不明です。特に日常生活に問題が無くても、突如として発症してしまう事がよくあります。

今までは急性膵炎が起こった場合には、膵臓によく効く薬というものは無いため、点滴や吐き気止め、鎮痛剤などのいわゆる対症療法で対応してきました。

そこで登場したのが、この「ブレンダZ」という新薬です。

膵炎が起こると、好中球という炎症細胞が細胞内に侵入して蛋白分解酵素や活性酸素を放出させます。この反応は生体を守るのに必要な反応ですが、膵炎ではこの反応が過剰となり全身的に問題が起こります。

ブレンダZは好中球が細胞内に侵入するのを抑制して、炎症を鎮めて症状を改善させるという働きがあります。

実際の使用方法は、急性膵炎が起こった時に5日間連続で静脈に投与するというものです。

急性膵炎は場合によっては亡くなる可能性もある恐ろしい疾患のため、ブレンダZは心強い武器となりそうです。