しこりの破裂

背中が腫れており、中から膿が出たというワンちゃんが来院しました。

背中に2cmほどのしこりがあり、そこが赤く腫れて、表面にはかさぶたが付着しています。

 

 

しこりを押してみると、しこりの中から膿様の白いものが出てきました。その白いものを顕微鏡で見てみると、膿の成分である好中球も確かにありますが、メインとなっているのは角質でした。

角質とはいわゆる「垢」なので、普通は皮膚の下から出てくる事はありません。ただし一部のしこりでは、中で角質を作る袋ができてしまい、そこに角質を貯めこんでいます。それが一定量貯まってくると破裂して外に出てくるのです。

今回のワンちゃんのしこりもそのタイプで、中で貯まった角質が破裂して出てきたため、炎症を引き起こしたというわけです。

角質が抜けると炎症は落ち着きますが、角質を貯める袋自体が無くなるわけではないため、また時間と共に角質は貯まっていきます。そのため、破裂を繰り返す場合にはしこりを手術で摘出することが必要になることもあります。

特にワンちゃんの背中にできやすいものですので、注意して触って見つけてあげて下さい。