僧帽弁閉鎖不全症②

今回は僧帽弁閉鎖不全症の検査についての話です。聴診にて心雑音が聴取され僧帽弁閉鎖不全症が疑われた場合、心雑音が軽度であれば経過観察という事になりますが、中程度以上の雑音が存在する場合には検査を進めていく事になります。

検査の内容は主にレントゲン検査と超音波検査です。

レントゲン検査で、おおまかに心臓にどの程度の異常があるかと、肺や気管などの心臓の周囲の組織に問題が無いかを同時に確認します。

下のレントゲンは心臓に問題の無いワンちゃんです。矢印の卵型をしたものが心臓になります。

下のレントゲンは重度の僧帽弁閉鎖不全症のワンちゃんになります。先ほどのレントゲンに比べて、心臓がとても大きく丸くなっているのが分かると思います。

ただし、レントゲン検査だけだと心臓に異常があることは分かりますが、どのような異常がどの程度あるのか正確に診断することはできません。そこで超音波検査を行う事により、僧帽弁閉鎖不全症であることを確定させ、さらに重症度の評価をすることができます。

下の超音波検査画像は、心臓に問題が無いワンちゃんの超音波検査画像です。左心房内の血流は赤く単色で映し出されています。血流に問題が無い場合には、このような単色で血流が映し出されます。

下の超音波検査画像は、僧帽弁閉鎖不全症があるワンちゃんの心臓です。左心房内が様々な色で映し出されていますが、僧帽弁閉鎖不全症があり血流が乱れていると、このような様々な色のモザイク画像になります。

 

僧帽弁閉鎖不全症の主な検査は以上の2つになりますが、場合によっては血液を採取してANPやBNPという心臓に負担がかかると上昇する項目を調べることもあります。

このような検査を行い僧帽弁閉鎖不全症の重症度を評価することにより、治療方法を決定していくことになります。

それでは治療については次回とさせて頂きます。