僧帽弁閉鎖不全症③

今回は僧帽弁閉鎖不全症の治療についてのお話です。

僧帽弁閉鎖不全症の治療に関しては、大きく内科治療と外科治療に分けられますが、外科治療の方からお話したいと思います。

手術の内容の前に、そもそも「僧帽弁とは何か?」ということです。心臓の左心房と左心室というところの間に僧帽弁は存在しますが、僧帽弁は心臓が収縮するたびに「開く」、「閉じる」を繰り返して、左心房から左心室へ血液が一方通行で流れるのを手助けしております。この僧帽弁の構造が変化し、血液が逆流するようになってしまうのが僧帽弁閉鎖不全症です。

下の図は正常な僧帽弁です。このように、左心房から左心室に血液が流れる時は僧帽弁が開きます。

また、左心室から全身に血液が流れる時は、僧帽弁が閉じます。

しかしこの僧帽弁の閉じが甘くなると、下の写真のように全身に血液が送られる時に、一部の血液が逆流してしまい、左心房の容量が過負荷になり肺水腫という呼吸困難に陥ってしまいます。

この僧帽弁の構造を手術で是正するというのが外科手術の目的となります。

ただしそれには開心(心臓を開けること)が必要となります。心臓を一時停止させて体外循環を行い、その間に心臓を開いて僧帽弁の再建を行うという大がかりな手術です。そのため、この手術は専門の病院でしか行う事ができません。そのような事情もあって、今のところ僧帽弁閉鎖不全症の治療を行う場合には内科療法を選択される方が圧倒的に多いです。

内科療法に関しては、また次回お話します。