皮膚糸状菌症①

片耳が赤くなり脱毛しているという子猫ちゃんが来院しました。1ヵ月前に保護して飼い始めましたが、そのころから脱毛があったそうです。本人は気にする様子はないとのことですが、確かに反対側の耳に比べると毛が薄くなっています。

そこで患部を調べてみたところ、カビの胞子が見つかりました。どうやらカビが感染して脱毛しているようです。

子猫ちゃんでのカビの感染は比較的よく見られますが、正式には「皮膚糸状菌症」という病気であり、猫ちゃん同士の接触で感染するため、保護される前に他の猫ちゃんからもらってしまったものと思われます。

皮膚糸状菌症は、まだ免疫力の弱い1歳未満の若い猫ちゃんでの感染が多く、特に頭部での発症が多いです。糸状菌は毛に感染するため、感染した毛が抜け落ちて脱毛の所見がみられます。また、痒みが比較的少ないというのも特徴です。

この皮膚糸状菌症の問題点は、猫ちゃんだけでなく人に感染することもあるということです。人に感染すると手足に円形の皮膚炎ができたり、頭部の脱毛がみられることもあります。家族の方にこのような症状がみられるという話が聞けた場合には、皮膚糸状菌症の感染の疑いをさらに強めることができます。

治療と管理方法は次回またお話します。