甲状腺機能低下症②

今回は甲状腺機能低下症のお話の続きです。

13歳の甲状腺機能低下症疑いの柴犬に、「レベンタ」という甲状腺ホルモン剤を投与したところ、約2ヵ月後には薄かった毛が生え始めました。そして生えてきた毛も、若い柴犬のようにフサフサなものです。甲状腺機能低下症と仮診断して治療を始めましたが、この治療経過なら甲状腺機能低下症ということで間違いないでしょう。

上が最初の写真です。全体的に毛が薄く、毛質も悪いです。

こちらが、レベンタ投与2ヵ月後の写真です。毛がしっかり生えてきました。

甲状腺機能低下症は中齢~高齢のワンちゃんにみられ、甲状腺ホルモンが体から不足することにより、様々な症状を呈する病気です。甲状腺ホルモンが不足すると、今回のワンちゃんのように皮膚症状がみられるだけでなく、代謝が悪くなることにより「食べていないけど太る」、「元気が無くなる」、「寒さに弱くなる」などの症状がみられることもあります。さらには代謝の低下に伴い、内臓疾患や運動器疾患など様々な病気の引き金になるとも言われています。

何となく食欲が落ちて元気がなくなってきたとか、毛が薄くなってきたという高齢のワンちゃんの場合、もう年だから仕方がないかなと思ってしまうかもしれません。ただし、その中には甲状腺機能低下症のワンちゃんが見逃されている可能性もあります。

甲状腺機能低下症を疑うような症状がある場合にはご相談下さい。