骨盤骨折①
骨盤骨折①
外で暮らしていて、いつもフードを与えていたネコちゃんが、ある日急に歩けなくなったということで病院に連れて来られました。
診察を行ったところ、前肢に異常はありませんでしたが、後肢は踏ん張りが利かず立てません。下半身に重大な問題がある事は明らかでした。そこでレントゲンを撮ってみると、骨盤付近に複数の骨折箇所が見つかりました。
①左の大腿骨が骨頭付近で骨折しています。(黄丸)
②左の仙腸関節(仙骨という背骨と骨盤の結合部)が脱臼しています。(赤丸)
③右の寛骨臼という大腿骨がはまっている部位も骨折しています。(青丸)
④坐骨~恥骨も骨折しています。(ピンク丸)
上記の所見からおそらく交通事故にあったと思われますが、幸い内臓に問題はなく、命に関わることはなさそうです。ただし骨折の程度は重度であり、何もしなければ歩けるようにはならないことと、将来的に骨盤が狭くなり自力で便が出せなくなる恐れがあるため、手術を行う事になりました。
手術といっても上記の①~④を全て行うとすると、麻酔時間が相当長くなってしまい、ネコちゃんへの負担も大きなものとなります。確実に手術が必要なのは①ですが、②の手術を行わないと③の骨折が悪化してしまう可能性があります。逆に言うと、②の手術を行うことにより③も安定させることができます。また、④の部位は大きく動く部位でないため、手術をしなくとも自然に癒合が望めそうなので、①と②の手術をを行う事になりました。
さて、手術に関しては次回お話します。