免疫介在性血小板減少症②

糖尿病のワンちゃんが「免疫介在性血小板減少症」になってしまいました。通常この病気の場合、治療の第一選択はステロイドですが、糖尿病がある場合にはステロイド使いづらいため、別の治療方法を考える必要があります。

今回のワンちゃんは出血が止まりにくいという症状はありましたが、食欲や元気などに大きな問題はありませんでした。そのため、まずは効果が出るのに少し時間はかかりますがレフルノミドという免疫抑制剤を使い始めました。過剰に働きすぎている免疫を抑えて、血小板を壊されにくくするという薬です。

ところが、その翌日から徐々に体調が悪くなっていき、4日後にはほとんど何も食べなくなり、嘔吐も起こり始めました。血小板を測ってみるとまだ数値は「0」であり上がってきておらず、レフルノミドの効果は出ていません。

このままでは命に関わってくるため、別の治療方法として「ガンマガード」という薬を用いることにしました。ガンマガードは、血液中のマクロファージという細胞が血小板を破壊することを防ぐ働きがあります。1日かけて静脈からガンマガードを投与したところ、2日後には血小板の値が0でなく8000と少し上がってきました。投与4日後には7万2000、6日後には10万2000、2週間後には正常値である35万まで上がりました。ワンちゃんの体調も徐々に戻ってきて、この頃にはすっかり元気になっていました。

ガンマガードは2回目以降の使用ではアナフィラキシーショックを起こしやすくなるため、単発で使って効果が出ている間に、免疫抑制剤が効いてくるのを待つ、いわば時間稼ぎの薬です。

現在は投与後1ヵ月以上経っておりガンマガードの効果も切れていますが、血小板の数値は安定しています。レフルノミドの効果が十分に発揮されて、病気を抑えることができているという状況です。

ただし、免疫介在性血小板減少症は再発が比較的起こりやすい病気なので、レフルノミドはある程度の量で今後も継続することになります。

このまま再発なく過ごしてもらえたらと思います。