ウサギの食道梗塞

ペレットフードを勢いよく食べていたら、急に元気がなくなってペレットを吐き戻したというウサギさんが来院しました。

院内で様子を観察していると、立たせると立つことはできるけれど、すぐに横になってしまうなど、明らかに様子がおかしいです。

ウサギさんは構造上、嘔吐(胃まで到達した食物を吐き戻すこと)ができない生き物なので、「ペレットを吐き戻した」というのは嘔吐ではなく、食道にペレットが詰まったことにより逆流して出てきたものかと思われます。

そこで造影剤を飲ませてからレントゲンを撮ったところ、食道に明らかにペレットが詰まっている所見があったため食道梗塞と診断しました。食道梗塞とは摂取した食物や、誤って飲み込んだ異物が食道で動かずに停滞してしまう疾患であり、場合によっては全身麻酔下で内視鏡を用いて、詰まってしまったものを取り出す必要があります。

下の写真が食道にペレットが詰まっている時の写真です。食道内でペレットを取り囲むように造影剤が流れています。

幸い今回のウサギさんは、数分後にもう一度レントゲンを撮ったところ、ペレットが食道から流れているのが確認されたため、内視鏡をすることはありませんでした。

ただし一時的にでも食道梗塞が起こると、食道に炎症が少なからず起きます。特にウサギさんは繊細な生き物であるため、食道の痛みや違和感で食欲不振に陥ってしまうことがあります。このウサギさんもその日から数日間、食欲が全く無くなってしまったため、毎日点滴や痛み止めの注射を行ったところ5日程で食欲が回復しました。

食道梗塞はウサギさんに限らず、ワンちゃんやネコちゃんでも起こります。大きなフードを急いで食べたり、丸のみする癖のある子は、フードを小さくしたり柔らかくするなどの工夫をして下さい。