猫のキャリートレーニング
愛玩動物看護士の諸星です。
長かった夏もようやく終わりに差し掛かり、過ごしやすい日も増えてきましたね。
我が家のペットたちも各々が少しずつ冬支度をはじめており、季節の移り変わりを感じる今日この頃です。
さて、今回は猫ちゃんのキャリーに慣れてもらう練習のお話をさせていただきます。
お散歩の習慣があるわんちゃんと違い、猫ちゃんにとって家の外に出るという事はとてもストレスのかかる大きなイベントです。久しぶりの病院だ!と戸棚からキャリーを出してきたら肝心の猫ちゃんが隠れて出てこない、逃げ回って捕まえられない、なんて事は「猫飼いあるある」なのではないでしょうか。
最近では地震や洪水などの災害もあり、状況によっては一緒に避難しなければならない事もあります。引っ越しやペットホテルの利用等、病院への通院以外にも猫ちゃんにキャリーに入って欲しいタイミングは少なくないと思います。
成猫ちゃんでもまだ間に合います。猫ちゃんにとってキャリーの中が少しでも「落ち着ける快適な場所」になるように簡単な事から始めてみませんか?
必要な物:キャリー(自立できる物)、お気に入りの毛布やクッション、好きなおやつやご飯(ドライが望ましい)
※通院・避難時におススメのキャリー
・前面、上面が開く
・上下で分解できる
怖がりでキャリーから出て来られない猫ちゃんを、無理矢理キャリーから引っ張り出さずに診察する事が出来ます。
①猫がくつろげる場所にキャリーを常に置いておく
扉を常に開けておき、中にふかふかの毛布やクッション(出来れば猫の匂いが付いた物)を入れておきます。猫ちゃんが好きなときに中に入ってくつろげるようにしましょう。
②おやつや食事をキャリーの中で与える
猫にとってのキャリーが「病院へ連れていかれる箱」から「美味しい物が貰えるベット」になることを目標に、おやつを使って練習していきます。
最初は猫ちゃんに見せながらキャリーの中におやつを入れたり、おやつを入れておいたキャリーの中へ抱っこして入れてみましょう。入口付近から奥に向かっておやつを配置すると、猫ちゃんがおやつに気付きやすくなり、奥まで誘導する事も出来ます。キャリーの中で食べてくれるようなら追加でおやつを入れ、「この中に居ると良い事がある」と教えていきます。
もしまず入る事が出来ない、入れてもすぐ出てきてしまうようならば、最初はキャリーの扉の目の前で与えてみましょう。食べられるようになってきたら、少しずつキャリーへ誘導していきます。
③たまにキャリーの中におやつを入れておき、猫が自主的にキャリーへ入る機会を増やす
最初のうちは1日2回など高頻度でおやつを置いておきます。置く時間は決めないほうが、「おやつあるかな?」と猫ちゃんが確認する回数が増える可能性があるのでおすすめです。置いている場面を見られるとその時にしか来てくれなくなるかもしれないので、入れた事がバレないように出来たら望ましいです。
自主的にキャリーに入って寝たり遊んだりする姿が見られるようになってきたら
④扉を閉める→開けてフードやおやつ与える
⑤家の外に連れていく→戻って扉開けておやつ
⑥家の外に連れていく→扉の隙間からおやつ入れる
とどんどんレベルを上げていく事が出来ます。
おやつのトレーニングは少し敷居が高いようならば、まずはキャリーを常に出しておくことだけでも是非試してみてください。それだけでも警戒心が和らぐ猫ちゃんは沢山います。
皆様の猫ちゃんにとって、キャリーが少しでも落ち着ける場所になりますように。
最後まで御覧いただきありがとうございます。
【参考資料】
株式会社医療情報研究所発行 猫が穏やかに病院へいく為の工夫と練習
エデュワードプレス発行 猫を極める本 服部幸著