食物アレルギー

こんにちは!今回のブログ担当の獣医師 今林です。

以前にも当院のブログで、アレルギー検査や除去食テストの話をさせて頂いていますが、改めて10年程前の除去食と比べると、本当に種類が増え選択肢が広がったなぁと思います。

以前はお勧めできるフードはせいぜい4~5種類でしたが、今は新奇蛋白質などの市販のフードもいれると、選びきれないくらいあります。当院で除去食を頑張っている患者さんも増えてきているので、今回は実際のフードの選び方や患者さんの写真など、少しお伝えできればと思います。

ちなみにアレルギー性皮膚炎には、アトピー性皮膚炎(環境アレルゲンが原因)と食物アレルギー(食物が原因)があります。今回は食物アレルギーについてお話します。

皮膚の治療方法は内服や注射などたくさん出てきていますが、「食物アレルギーであれば、合うごはんを見つけ、与える事が治療」になります。

逆に、アレルギーの原因であるものを与え続けると痒みは治まらないという事なのです。

 

食物アレルギーを疑う症状

*1歳未満から痒みがある(外耳炎のみを含む)

*季節性がなく通年続く痒み

*便の回数が多い(1日3回以上)

*病変:足先、耳→眼まわり、あご下、背中、おしりパターンが典型

         (→首下、脇、下腹、内股パターンもあります)

 

これから治療を始めるような若い子で上記の事が一つでも当てはまる場合は、除去食テストを提案しています。

 

除去食テストの進め方

  • 今まで食べているフードの袋などを持参して頂きます。

病院で原材料を見直して、今まで食べた事のない食材で作られているフードを選びます。

  • 数種類のサンプルからフードを選びます。

病院で勧めるフードの多くは、サンプルがお渡しできるので食べてくれるか試してから選べます。

  • 除去食テストスタート!

1~2か月で効果判定です。フード変更後の最低1ヶ月間はそのフード以外は与えないようにしてもらいます。(お薬併用中の方は投薬時に必要な場合、フードに含まれる原材料は使ってOKとしています)

 

評価の仕方

無事除去食テストを終えたあとの反応は4つです。

1痒みがなくなった :食物アレルギーの可能性大。

2痒みは減ったが完全にはなくならない:食物アレルギー+アトピー性皮膚炎の可能性

3変わらなかった:食物アレルギーはない

4悪化した:除去食に含まれる食材にも反応している

 

痒みの評価基準としては、飼い主様に直感的な痒みの印象を10段階で評価してもらい、痒みが半減したのであれば効果ありと判断します。

 

1.2であれば食事変更を継続するメリットが大きいですが、3.4であれば再度他の除去食を試すかアトピー性皮膚炎として対応していくことになります。

 

実際の症例

現在3歳の元気なMIX(マルプー)の女の子です

5か月齢から外耳炎歴があり ←怪しい。

2歳位からは前肢をなめる症状あり ←怪しい。。

避妊去勢後用にフードを変更したら悪化した気がする ←怪しい。。。

3歳になりいよいよ眼回りの痒みが悪化し、脱毛も認められたため治療を始めました。

この時はマラセチア皮膚炎もあり、結構痒そうでした。内服や薬用シャンプーを頑張って頂きだいぶ症状は改善しましたが、すっきり良化した感じではなかったので、痒み止めのお薬は継続したまま、除去食テストを開始しました。

まだ内服は少量使っていますが、今は治療開始の1/4位まで内服を減らせています。

涼しくなってきたので冬に向けて完全休薬できるかチャレンジ予定です。

 

飼い主様が「今まで与えていたおやつや缶をやめたら、便の回数や痒み症状が落ち着いた」と教えてくれるパターンもあります!

ただ食物アレルギー以外に感染症を伴っていたりすると、食べ物が原因であってもすっきり良くならない場合がありますので、長引いてしまう場合は病院で相談して頂くのが、一番の近道です。

 

また、治療開始前であればフードを選ぶのにアレルギー検査を行うという方法もあります。費用面や、精度の問題で除去食テストがおすすめですが、今までに色んなごはんを食べていて除去食を選びにくい場合などは参考になります。

 

除去食テストは、効果が確認できるまで時間がかかりますが、食物アレルギーは生涯お薬を使わなくてもコントロールできる可能性があるので試してあげたい治療方法です。

興味があればぜひご相談ください。