ドライフードの嗜好性アップの工夫

こんにちは、愛玩動物師の諸星です。

長く寒い冬もすこしずつ終わりを迎え、暖かな日差しが心地良く感じる日も増えてきましたね。寒さのぶり返しもまだ気が抜けませんが、今年は過ごしやすい春が少しでも長くなることを願わずにはいられません。

 

さて、今回はドライフードの嗜好性アップの工夫をいくつかご紹介させていただきます。

泌尿器や消化器、循環器等の病気が見つかり、今までのフードから病気のケアが出来る療法食への切替えが必要になるわんちゃんやねこちゃんは沢山いらっしゃいます。

「療法食」と言っても、沢山のメーカーさんが多様なフードを作っています。当院でも複数メーカーのサンプルをご用意していますが、なかなか好みのフードに巡り合えない、最初は喜んで食べていたけど飽きてしまう。療法食に限った事ではなく、フードの悩みを抱えていらっしゃる飼い主さんは珍しくありません。

我が家の愛犬も食が細く、お迎えした時から苦労が絶えませんでした。

もちろん体調不良で食欲がないのか、ただ気分が乗らず食べたくないのか、しっかりと見極める必要はあります。

口の痛みが原因だと、硬い食物だけ食べなくなったり、食べ方が変化したり(左右片側だけ使って食べる、口からフードがポロポロこぼれる等)する事があります。腎臓や肝臓等の内臓の疲れが影響し、食欲が落ちる事もあります。

うちの子どうかな?と心配な方は、是非一度ペットさんたちと一緒に病院へ相談にいらしてください。

 

前置きが長くなりましたが、まずわんちゃんねこちゃんが何を基準に食事を選んでいるのかご存じでしょうか。

私たち人間に比べて「鼻が良い」という印象をお持ちの方は多いと思いますが、それが食事の選び方にも表れています。

匂いをキャッチする嗅覚受容体の数は、犬は6000万~2億個(犬種差あり)、猫は約6500万個あるのに比べ、人間は1000万個程度しかありません。

嗅覚とは逆に、味を感じるセンサーである「味蕾(みらい)」の数は人間が約6000個と言われているのに対し、犬は約1700個、猫はなんと約500個かつ甘さを感じる味蕾はないと言われています。

フードの臭いだけクンクン嗅いで、食べずにどっかに行ってしまった経験はないでしょうか。美味しく食事を食べてもらうためには、美味しい味より前に、「美味しい匂いがする事」がとても重要なのです。

 

では、美味しそうな匂いだなと感じてもらうために、どのような工夫ができるでしょうか。

開封直後は喜んで食べるけれど、日にちが経つにつれて食いつきが悪くなる子は少なくありません。まずは、ドライフードの質を出来る限りキープしてみましょう。

  • 購入するフード容量を見直す

ドライフードに含まれる油の酸化や、湿気等で匂いはどんどん劣化していきます。

フード購入の目安としては、開封してから1か月未満で食べきれる量をオススメします。

  • 酸素に触れる回数を減らす

ドライフードの保存は、基本的にはフードが入っていた袋のまま保存するのが良いとされています。袋の口はしっかり閉じ、心配な方はフードの袋ごと密閉容器やストッカーに入れてください。

しかし、毎食その大袋を開けて閉めてを繰り返すと、酸素や湿度に触れる回数が多くなってしまいます。

1週間程度分のドライフードを密閉容器に移し替えて、そこから毎食分を取る。密閉容器分がなくなったら大袋からまた密閉容器に移し替えて、とやっていくと、大袋で待機しているドライフードが酸化する回数を抑える事が出来ます。

プラスチック製のタッパーでは匂い移りが目立ちフードの油分も残りやすいので、我が家は蓋つきのホーロー容器を使用しています。ガラスや陶器製もオススメです。

我が家は中型犬と猫4頭でフードの回転が速いので上記の方法で最後まで美味しく食べてくれますが、小食の子やフードローテーションで食べきるまでの時間がかかる方は、真空パックに小分けしての保管もオススメです。

  • フードの保管場所を見直す

温度変化が激しい、直射日光が当たる、湿度が高い。そんな場所ではフードの劣化が進みやすくなります。

開封済は勿論のこと、未開封のフードの保管場所にも注意が必要です。開封済のフードを冷蔵庫に入れている方もいらっしゃいますが、開閉時に温度変化が生じやすく、結露の危険性もあるので、オススメできません。

 

以上が既存のフードの美味しさを保つ工夫になります。

では実際にわんちゃんねこちゃんに与える際、どのような工夫ができるでしょうか。

  • フード自体の匂いを立たせる

ドライフードを1食分耐熱皿にとり、電子レンジでラップせず数秒温めると、湿気が飛んで匂いが立ちます。(加熱時間が長いと焦げてしまうので注意)

お湯をかけてふやかして与える方法もあります。ただ、ドライフードは濡れてしまうと菌が繁殖しやすくなるため、すぐ完食出来ない時は置き餌せず下げるようにする事と、もし朝に与えるフードを夜からふやかしておく時は、必ず冷蔵庫で保管してください。

 

  • 美味しい匂いがする物をトッピングする

ドライフードよりも嗜好性が高いウェットフード等を少量混ぜて与える方法です。

高温の熱を加えて加工したドライフードと比べ、ウェットフードの方が香りが良く、嗜好性が高い傾向にあります。

療法食等で食事内容に制限がある子も居らっしゃると思いますが、療法食の中にはドライフードだけでなくウェットフードがある種類もあります。また、当院ではねこちゃんに多い尿石症に配慮した「pHコントロール」や腎臓や心臓へ配慮されている「低リン低ナトリウム」動物病院専売ちゅーるもご用意しております。

また、錠剤を包むのに便利な粘度の高い投薬用のちゅーるもございます。

1本から求めいただけますので、ご希望の方はスタッフにお申し付けください。

 

  • 「美味しい匂い」をつける

療法食を食べている子は食事内容に制限があり、トッピングを追加する事が難しい事が多いです。

そんな時におすすめなのが、出汁パックを使って匂いだけをフードにつけてあげる方法です。

小さめの保存容器に数回分のフードを移し、出汁パック(お茶パック)の中に匂いが強い食べ物(例えばかつおぶしや細かく切ったジャーキー、他メーカーのドライフード)を入れ、しっかり中身が出ないようにしっかりと封をして先ほどの小分けしたフードの中に入れておくだけです。たったそれだけでと思いますが、実際にやってみると明らかにフード自体の匂いが変わっているのが人でも分かります。

飽き性で食べ飽きする子も、フード自体を変えずに気分転換ができるのでオススメです。

  • 粒の形状を変える

わんちゃんねこちゃんにとって、ドライフード粒の形状(大きさ、厚み、形、硬さ)は食いつきに直結する重要な要素です。口の形やベロの使い方、食べ方の癖等の様々な要素が関わり、その子が「食べやすい」と感じる粒が決まります。

大きすぎる粒は軽く砕いたり、粒が小さい物に変えるだけで食べやすくなる子も居ます。

最近ロイヤルカナンでは小型犬向けに、小粒タイプが追加になった製品もございます。

サンプルの用意もございますので、ご希望の方はスタッフまでお声掛けください。

 

いかかでしたでしょうか。

他にも食器の形や素材、高さを変えるだけで食べやすくなる事もあります。

毎日の食事の時間が、皆様にとって、愛犬愛猫にとって、少しでも楽しい時間になりますように。

何か少しでもお力になれたら幸いです。

 

参考:ROYAL CANIN 犬と猫の栄養成分辞典 library.royalcanin.jp