乳腺のしこり
こんにちは。今回のブログを担当します、獣医師の清田です。
今回は少し苦戦した症例を共有したいと思います。
野良猫ちゃんを保護したとのことで来院。軽く身体検査をし、1歳弱の女の子ということがわかりました。
おうちにも慣れてきた頃に避妊手術を行いました。その際にお腹の毛刈りをしていると、ぽこぽこと小さなしこりがたくさんあることに気づきました(写真だとわかりにくいですが…)。

まだ若いので乳腺腫瘍の可能性は低いと考え、まずは避妊手術後にも残るのかどうかの経過観察を行いました。
1ヶ月半ほど経過をみましたが小さくなる気配はなく、むしろ増えてきているような様子があったので、一番大きい部分の切除生検を行いました。
病理検査にて、乳管拡張症および慢性乳腺炎との診断。腫瘍性の変化はないとのことでした。
炎症とのことでまずは感染を疑い抗生剤と抗炎症剤を投与しましたが変わらず。
避妊手術をしたのにもかかわらず乳汁が出るので、次にホルモン関係の異常を疑いました。プロゲステロンの働きを抑えるアグレプリストンという注射薬の投与を週1回で計4回行いましたが効果なし。
このまま治らなかったら、最終的に乳腺の全切除が必要?と悩みながら、別のホルモンであるプロラクチンを抑えるカベルゴリンというお薬を飲んでもらったところ、劇的に縮小がみられました。
お薬は12日ほど飲んでもらい、ある程度縮んだところで終了しましたが、1ヶ月後の再診時にはできものはきれいさっぱりなくなっていました。避妊手術から治るまで時間がかかってしまったので、なくなったときには飼い主さんと一緒にとても喜んだことを覚えています。
今回は乳腺を全て切除してしまう前に診断をつけることができ、体への負担は最小限に抑えることができたかなと思っています。
猫の乳腺腫瘍は8割が悪性と言われていますが、このように、全てが腫瘍とは限りません。まずは診断をつけるため、若くてもしこりを見つけたらすぐに診察を受けることをお勧めします。
