認知症②

先日のブログで、認知症のメカニズムについてお話ししました。そこで今回は認知症に対する治療の話に移りたいと思います。

まず、前提として「認知症は治る病気ではない」ということです。以下に記載するような治療を行っても、徐々に認知症は進行していきます。そのため、認知症の進行スピードを緩めることにより、人と犬がよりよい生活を長く送るようにできることが治療の目標となります。

具体的な治療方法としては①環境修正、②行動修正、③栄養的介入、④薬物療法となります。

 

①環境修正

認知症が重度になると、今まで暮らしていた家の中でも迷子になってしまうほど認知力が衰えてしまいます。初期の認知症ではそこまでではないにしても、ワンちゃんにとって住みやすい優しい環境にする必要があります。

例えば、トイレが分かりにくいと失敗してしまう事も多くなります。トイレは分かりやすく入りやすいようにしましょう。また、家具の配置を変えると混乱してしまうため、家具の大移動などは控える方がよいです。

さらに、認知症になると筋力も低下するため、フローリングでは滑ってしまうようになります。床を滑りにくい素材に変えるなど、工夫するようにしましょう。

 

②行動修正

人の認知症でも適度な運動が必要と言われていますが、ワンちゃんの認知症も同様です。まず散歩はゆっくりで構わないので、長めに行うようにしましょう。

また、適度に脳を使うトレーニングも行うとよいです。「コング」という、フードを中に詰めることができるおもちゃで遊ぶことにより、ワンちゃんはどうやったらフードを取り出すことができるかを考えます。コングに代わるものとしてはペットボトルに部分的に穴を開けて、そこにフードを入れておいて、転がすとフードが出てくるというものも有効かもしれません。

 

③栄養的介入

前述したように、酸化ストレスにより脳が攻撃を受けることによって認知症は起こります。抗酸化成分がたっぷり入ったフードを食べることにより、認知症の進行を遅らせることが可能です。

 

薬物療法に関しては、また次回とします。