オーラルベットⅢ
今月のブログ担当の居山(いやま)です。今回はオーラルベットⅢという機械を紹介します。
オーラルベットⅢは簡単に説明すると、歯石付着とそれに伴う歯周病や歯肉炎がひどい子に対して、全身麻酔下で歯石の除去や歯周ポケットの掃除を行うための器具です。
まず歯周病や歯肉炎になるとどうなってしまうのか。
・歯肉が腫れ出血しやすくなる。口臭が強くなる。
・進行すると歯がぐらぐらになって抜け落ちる。
・歯周病によって歯の根っこで炎症がおこり化膿して膿が溜まる。(根尖膿瘍)
・それにより歯肉や皮膚に穴が開きそこから膿を排出するようになる。
<歯石が著しく蓄積した歯> <根尖膿瘍により皮膚に穴が開いた様子>
また、重度の歯周病を放置しておくと歯周病の菌が血液を介して心臓、肝臓、腎臓にも影響を及ぼすこともあります。
一度ついてしまった歯石は歯磨きでは落とすことはできないので、全身麻酔をかけた上でオーラルベットⅢで以下の手順で処置を行います。
➀スケーラーで歯石の除去や歯周ポケットの掃除を行います。
➁抜歯が必要な場合はオーラルジェットを使います。
歯を切ったり、歯を支えている歯槽骨を削り、エレベーターという器具で歯を挟み抜きます。
③ポリッシングを行います。
表面のざらつきを磨き上げ終了になります。
オーラルベットⅢは人用の歯科器具を作っているメーカーから動物用に出されたものですが、歯科処置で必要な装備が全て備わっているため、とても使いやすい器具です。
今まで古いタイプのオーラルベットを使用していましたが新型を導入したことにより、旧型と違い先端から出る水が温水になったことで麻酔中の体温低下を防ぎ、より安全に処置が出来るようになりました。
年齢や持病によって処置を行うことが難しい場合もありますので、歯石や歯肉炎、歯周病が気になる方はご相談下さい。