歯肉口内炎②

前回、ネコちゃんで多くみられる「歯肉口内炎」の内科療法について話をしましたが、今回は外科療法についてのお話です。

内科療法である程度の食欲がキープできていれば、内科療法の継続でも構いません。ただし内科療法を行っても食欲の改善が望めないほど痛みが強い場合や、内科療法で用いるステロイドによる副作用が許容できない場合には外科療法を考える必要があります。

外科療法の具体的な方法とは、抜歯を行うことです。歯を抜くことにより、細菌やウイルスなどの病原微生物が潜むことができる場所を無くして、病原微生物の絶対数を減らすことにより、歯肉口内炎を落ち着かせることができます。

具体的にはまず臼歯(奥歯)を全て抜く全臼歯抜歯を行います。臼歯はネコちゃんで大小合わせて14本ありますが、この歯をすべて抜くことになります。それにより8割のネコちゃんで程度に差はありますが症状の改善が認められます。

しかし残りの2割のネコちゃんでは症状の改善が認められません。その場合には残っている切歯(前歯)と犬歯(牙)も抜くことにより症状の改善を期待します。

今回のネコちゃんは全臼歯抜歯を行いましたが、こちらが抜歯前の写真です。黄丸の部位に炎症があります。

そしてこちらが抜歯後の写真になります。抜歯後はだいぶ痛みが緩和されました。

口の中の痛みでお困りの場合は、ぜひご相談ください。