多発性嚢胞腎

食欲不振で痩せてきたという猫ちゃんが来院しました。

確かにかなり痩せていて、血液検査を行うと腎臓の数値がかなり高くなっており、腎不全という状態でした。

高齢のネコちゃんで腎不全になるという事はよくあるのですが、その場合は腎臓が萎縮している(小さくなっている)ことがほとんどです。

ただし今回のネコちゃんの場合は、触診で腎臓がかなり大きくゴツゴツしているのが分かりました。

そのため超音波で腎臓をみたところ、「嚢胞」という液体が貯まった袋が腎臓内に無数にできており、これが正常な腎組織を圧迫することにより腎機能が低下する「多発性嚢胞腎」と診断されました。

下が正常なネコちゃんの腎臓の超音波画像です。大きさは3cm程度です。

 

こちらが多発性嚢胞腎のネコちゃんの超音波画像です。上の腎臓と比較すると、すごく大きくなっているのが分かると思います。大きさは8cmにも拡大しており、黄矢印がいずれも嚢胞です。

嚢胞の中は液体で充満しているため、嚢胞を針で刺せば一時的には小さくなりますが、すぐにまた液体が貯まってきて再び腎組織を圧迫するようになってしまいます。そのため根本的な治療は難しく、通常の腎不全と同じように、通院点滴で尿毒素の数値を下げる治療がメインとなります。

この病気は遺伝性であり、ペルシャなどの純血種のネコちゃんでよく発生が見られます。心配な方は、超音波検査でのチェックをお勧めします。