鼻腺癌③

鼻の腺癌に対して、放射線治療を行ったネコちゃんのお話の続きです。

放射線治療を行って癌が縮小し、鼻の通りが良くなって快適な生活を送れるようになりましたが、やがて癌細胞はまた大きくなってくると思われます。現在のいい状態をキープするために、他に何かできることはないのでしょうか?

まだデータが多くありませんが、トセラニブという薬が効くかもしれません。トセラニブは分子標的薬という抗癌剤の一種ですが、様々な悪性腫瘍に効果があるというデータが集まりつつあります。鼻腺癌に使用した場合でも、癌を消滅させるほどの効果は望めませんが、癌の大きさをある程度縮小させたり、進行を抑えたりする効果はあるようです。ただし全てのネコちゃんに効くわけでなく、その効果はネコちゃんごとに違うため、使ってみないと分からないというところです。また副作用として下痢や嘔吐、食欲不振などがみられる場合があります。

今回のネコちゃんは放射線治療後、一定期間は経過観察をしていましたが、少し鼻の通りが悪そうな音が出始めたため、トセラニブを使い始めました。使い始めてから、副作用は特にみられず、鼻の通りが悪い音も少し改善し、症状が安定しました。現在は休薬期間を設けながらトセラニブを継続している状況です。快適に暮らすことができているこの時間が長く続けばと思います。