疥癬

両後肢の内側をかじって出血しているというワンちゃんが来院しました。もともとアレルギー性皮膚炎を患っており、お腹を痒がることはありましたが、痒み止めの薬を使用中にもかかわらず、今回は両後肢をかじり始めたということです。

確かに両後肢に強い炎症があったため、そこの皮膚を調べてみたところ「ヒゼンダニ」というダニが寄生していました。こちらが顕微鏡で見つかったヒゼンダニです。

ヒゼンダニが寄生することによって起こる皮膚疾患を「疥癬」と言いますが、イヌ科のタヌキなども疥癬になることがあります。ヒゼンダニが寄生したワンちゃんとの接触や、タヌキなどの野生動物の死骸との接触などでヒゼンダニは寄生しますが、今回のワンちゃんの感染源は不明でした。

疥癬は今回のワンちゃんのように赤みが強く出るタイプもあれば、赤みは目立たずフケが多く出るタイプもあります。ただし、どちらも共通して言えるのが痒みがとにかく強いことです。

疥癬は痒みが強くて厄介な皮膚疾患ですが、治療は比較的容易です。動物用医薬品であるスポットタイプのノミダニ駆除薬を用いれば1~2回の投与で駆虫することができます。

しつこく強い痒みでお困りのワンちゃんはご相談ください。