腎臓腫瘍➁

腎臓腫瘍が疑われ手術を行ったワンちゃんのお話の続きです。

前回までに、手術で摘出しない方の腎臓(残す方の腎臓)の機能に問題がないということを確認したため、全身麻酔下で腎臓摘出の手術を行いました。

お腹を開けると左側の腎臓に3cmほどのしこりが確認できたため、腎臓に繋がっている動脈と静脈を結んで切断し、また腎臓で作られた尿を運ぶ尿管という管も結んで切断して、遊離した腎臓を摘出しました。下の写真は摘出した腎臓ですが、黄丸で囲っている箇所がしこりのある部位です。

腎臓を病理検査に出したところ「血管肉腫」という、腎臓で発生することは比較的珍しい腫瘍であることが分かりました。血管肉腫は脾臓に発生することが多い悪性腫瘍ですが、非常に転移しやすいという特徴があります。腎臓の血管肉腫も脾臓の場合と同様に転移する可能性が高いため、ある程度の効果が望める抗癌剤の治療を行いましたが、残念ながら術後3ヶ月で亡くなってしまいました。

今回は血尿から大きな問題が見つかった症例を紹介しました。もし治りにくい血尿のワンちゃんやネコちゃんがいたらご相談ください。