会陰ヘルニア①

排尿姿勢をとるけれど、尿がポタポタしか出ないという14歳の雄のワンちゃんが来院しました。

その様子をみてみると、やはり尿をしたそうにグルグルと回るけれど、排尿姿勢をとっても尿がほとんど出ていません。

そのワンちゃんの体を触ってみますと、お尻の右横が腫れていました。

造影剤というレントゲンで写る液体を、ペニスに入れた管に流してみることにより、お尻の横の腫れは膀胱である事が分かりました。

膀胱が通常の位置でなくお尻の右横に移動してしまい、尿道が折れ曲がって尿が出せなくなってしまったようです。

※黄丸内の白い濃く写っているものが膀胱です。通常は赤丸の位置に膀胱はあるので、お尻側に寄っているのが分かります。

では何故そんなことが起こったのでしょう。

結論から申しますと、これは「会陰ヘルニア」という病気です。

会陰部とはお尻周りの事ですが、そこの筋肉が薄くなって、筋肉の間から膀胱が飛び出してしまっているのです(ちなみにヘルニアとは飛び出すという意味です)。

今回のワンちゃんでは膀胱が飛び出していましたが、大腸が飛び出してしまい、そこに便が貯まって出しづらくなるというパターンも多いです。

この病気の原因ですが、去勢手術を行っていない(または行うのが遅かった)雄のワンちゃんのホルモンバランスが、年齢と共に変化して、お尻の筋肉が薄くなり発症すると言われています。

実際に早期に去勢手術をしたワンちゃんで見ることはほとんどありません。

基本的には手術が必要な病気ですが、その方法はまた次回にお話します。