会陰ヘルニア②

さて、今回は「会陰ヘルニア」の治療法です。

会陰ヘルニアはお尻周りの筋肉が薄くなって、筋肉の間から臓器が飛び出してしまう病気なので、筋肉が薄くなっている部位を覆う手術が第一の治療法となります。

今回のワンちゃんはお尻の右側に会陰ヘルニアがありましたので、全身麻酔をかけてその部位を切開してみると、以下の写真のように穴が開いておりました。

この穴から膀胱が飛び出してしまっていたので、ここを塞ぐ必要があるのですが、手術法としては2種類あります。

①人工物を設置して覆う。

②自身の周囲の筋肉を剥がして縫い合わせて覆う。

 

①の方法は穴が大きい時には有効なのですが、手術後に人工物と体が免疫反応を起こす可能性が少なからずあります。そのため、穴が大きくない場合には②の手術法が得策です。

今回のワンちゃんも、穴はさほど大きくなかったので②で行っております。

こちらが筋肉同士を縫い合わせた後の写真です。穴が塞がっているのが分かると思います。

手術後は尿をしっかりと出せるようになり4日後に退院することができました。

会陰ヘルニアは、このように筋肉を縫い合わせて穴を塞ぐ手術がメインとなりますが、程度が軽い場合は内服やフードの変更で経過を見ることもあります。

また逆に症状が重度の場合は、お腹を開けて腸や膀胱を固定するという手術を組み合わせることもあります。

排尿や排便がうまくできなくなってきた高齢のオスのワンちゃんでは、この病気の可能性があるため注意して下さい。