歯肉口内炎①

ここ最近、食欲が落ちているという7歳のネコちゃんが来院しました。

以前と比べて体重も減っており、毛づやも非常に悪くなっています。口の周りによだれが多く付いており、よだれを拭ったためか前肢も汚れています。口の中を見てみると、両上顎の歯肉に強い炎症があり、口腔尾側粘膜(口の奥の方)もただれていました。

これはネコちゃんに多い「歯肉口内炎」の症状であり、口腔内に潜んでいる細菌やウイルスなどの微生物に対しての過剰な免疫反応によって、炎症が生じているものと考えられています。そして口の中の痛みが強いことがこの疾患の特徴であり、重度になると食事を全く摂らなくなって衰弱してしまうこともあります。

治療方法としては、①内科療法および②外科療法の大きく2種類に分けられます。

➀内科療法では口腔内の細菌数を減らすための抗生剤や、痛みの抑制としてのステロイド剤を注射や内服で投与します。それにより痛みを抑えることができれば、食欲や体重の安定を図ることができます。ただし完治を目指すことは内科療法では難しく、痛みを抑え続けるために薬の継続投与が必要です。そうすると徐々に抗生剤の効果が落ちてきたり、ステロイド剤の長期投与によっての副作用が懸念されたりします。そのような時には➁外科療法を選択する必要があります。

今回のネコちゃんは当初、内科治療である程度の痛みの抑制ができていましたが、やがて痛みが強くなりコントロールが難しくなったため、外科療法を行いました。

外科療法に関しては次回お話しします。