獣医師のお仕事②【検査編】

ブログ担当の獣医師の吉田です。前回に引き続き我々獣医師の普段の業務についてお話していこうと思います。

さて、前回は診察室の中での身体検査がメインのお話でしたが、今回は身体検査の結果、詳細な検査が必要だと判断したワンちゃん、ネコさんについてお話していきます。

一概に検査といっても血液検査をはじめ、レントゲン検査、超音波(エコー検査)、便検査、尿検査など様々な検査が存在します。我々獣医師はその中からこのワンちゃん、ネコさんにはどの検査が必要なのかを判断して検査を実施していきます。

もちろん、すべての検査を実施すれば得られる情報は多いのですが、ワンちゃん、ネコさんにかかる負担や、飼い主様にかかる費用などを考慮し、不必要な検査を行わないように努めています(健康診断は別ですが)。また、状態が悪い子たちは検査に耐えられるのかを慎重に判断し、検査に臨んでいます。

 

それでは、まずは便検査、尿検査についてお話していきます。

便検査では顕微鏡を用いて、寄生虫や病原性細菌の有無をメインに、消化不良を引き起こしていないかなどを確認していきます。特に子犬や子猫さんの場合は、軟便や下痢の原因に小さな寄生虫が関与しているケースもあるので、そういった場合は見落としがないように検査キットを用いることもあります。

尿検査では膀胱炎の有無や膀胱結石の原因となる結晶成分の確認をはじめ、多飲多尿の兆候がないか、膀胱腫瘍を疑う異常細胞が検出されていないかなどを尿比重(尿の濃さ)の測定、試験紙や顕微鏡を用いた検査によって確認していきます。

 

血液検査は大きく分けて血球の検査(貧血、感染や敗血症による白血球の増減、凝固異常などを確認できる検査)と生化学検査(内臓のダメージなどを確認できる検査)の2通りが存在します。どちらの検査も院内でスピーディーに行うことができます。

 

そしてこれらの検査結果をふまえて、問題がありそうな臓器を画像で確認したい場合にはレントゲン検査や超音波検査(エコー検査)へと進みます。

レントゲン検査は各臓器の大きさや見え方(普通より白く、または黒く見えていないかなど)を評価するのに適した検査です。例えば胸のレントゲンであれば肺が白くなっていないか(肺に水が溜まっていないか、炎症が起きていないかなど)、心臓が大きくなっていないかなどを確認できます。

お腹のレントゲンであれば臓器の大きさや位置は正常か、ガスや便の溜まり方に問題はないかなど様々なことを評価することができます。また、レントゲン検査は骨を観察することにも非常に適した検査です。歩き方がおかしなワンちゃん、ネコさんがいれば、その原因が骨折や脱臼などの問題なのか、神経の問題なのかを判断するのに非常に有用となります。

 

レントゲン検査と比較して超音波検査はより詳細に臓器の構造を評価する事ができるのが特徴です。各臓器の詳細な構造や腫瘍の検出、レントゲンでは確認しづらい臓器(副腎や膵臓など)の評価には非常に有用な検査となっています。しかし、全体を一度に評価する事や骨の評価には向かないこと、他の検査と比較して、ワンちゃん、ネコさんに協力してもらう時間が長いので、場合によっては鎮静(軽い麻酔のようなもの)の注射を打つ必要や半日ほどお預かりして検査を行う必要があります。それでも消化管などのお腹の臓器の詳細な検査や、心臓の機能を調べるのに欠かせない検査で我々獣医師にとって診断の大きな手助けになっているのは間違いありません。

いかがだったでしょうか、今回は院内で行っている検査の一部を簡単に紹介させて頂きました。我々獣医師がどのような検査を行い、どのような所を見ているか少しでもご理解いただき、興味をもっていただけたら幸いです。

次回は手術編となりますのでお楽しみに。